78:名無しNIPPER[saga]
2020/01/01(水) 11:39:08.44 ID:12PeC/pS0
夜になり人気もなくなり辺りは静かになった。普段なら夜も明るい笑い声のする柴田家は灯りも点さず薄暗いままだ。
人の気配すら感じないそんな柴田家である動きがあった。
「…早くしなさい…さっさと行くわよ…」
「ああ、わかってるよ。こちとら怪我してるんだから急かすなよ。」
「りんも早くしなさい。急がないとどうなるか…」
「うん…わかってる…」
初枝を除く治、信代、亜紀、それにりんの柴田一家が荷物を持って何処かへ行こうとしていた。
誰もが着の身着のままの状態で手には沢山の荷物を持ち家からこっそりと抜け出そうとした。
誰かが見たら夜逃げとも思われる光景だ。そんな中、亜紀があることを言い出した。
「ねえ…祥太どうするの…このままじゃ…」
亜紀は捕まった祥太のことを心配していた。
昼頃スーパーから連絡があって祥太が捕まった報せを受けた。
本来なら家族の誰かが迎えに行ってやらなければならない。
だが家族は迎えに行こうとしなかった。それどころか荷物を持ち出して何処かへ行こうとする始末だ。
「しょうがないでしょ。行ったらどうなるかわからないんだから。」
「けど…祥太は…」
「大丈夫だよ。別に捕まったからって殺されるわけじゃねえしな。」
そんな亜紀の心配を余所に治と信代は自分たちの身のことばかりを案じていた。
普通の親なら我が子を第一に思うのに何で…どうして…
今までなら家族として接していられたはずなのに亜紀はこんな二人を軽蔑せずにはいられなかった。
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