小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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96: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 19:42:07.18 ID:nY0iWbpOO
「すみませんね、美穂ちゃんと仲良くしてたところ邪魔しちゃって。今度の新年ライブの資料を確認しておいて欲しくて」

 ライブの当日だというのに先のライブの資料にも目を通さなくちゃいけないとはな。

「あの、それと……風の噂で聞いたんですけど」

「……ハリウッドのことですか?」

 ちひろさんはあははと笑って肯定する。俺は話した覚えないのだけど情報が早いな。

「アイドルのみんなは」

「美穂ちゃんたちは何も知らないと思います」

 多分ですけど、と付け加える。まぁあの子の場合知ってしまえば顔に出ちゃうもんな。

「プロデューサーさんは受けるおつもりなんですか?」

「まだ答えは出せそうにないですよ」

 なんせ急な話だ。部長もそこまで急いでいるようには見えなかったが早く答えを出さなくてはいけない。それはつまり、美穂にも早く話す必要があることを意味していた。

「ハリウッド研修、他のプロデューサーさんも行きたがってますからね。プロデューサーさんが断れば他の人に話が行くだけですけど」

「こんな機会、滅多にありませんからね」

 アメリカで一年過ごす。どれだけお金がかかるかは分からないが東京で生活するのとは訳が違う。負担となる諸々の費用は事務所が出してくれる、というのも魅力的だった。誰だって他人のお金で食べるご飯が美味しい。衣はともかくとして住に関わるお金も殆ど払ってくれるのなら、断る理由なんてどこにあろうか。

「プロデューサーさんは正しい選択をしてくれると信じていますよ」

「それは……ハードル上がりますね」

 ちひろさんの言葉は言外に間違えるな、と言っているようにも聞こえた。



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