12: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:25:26.98 ID:nY0iWbpOO
インフルエンザと言っても1週間あれば熱は下がるだろうが、先輩は相当うなされていたらしく丸々2週間熱が下がらず寝込んでいたそうだ。当然その間事務所に来ることはできないし、年末年始の撮影も控えているアイドルに移そうものなら洒落にならないことになる。その間彼が担当していたアイドルを同僚のみんなで分担して面倒見ることになっていた。俺が加蓮の送り迎えをしているのもそういう事情があったのだ。
「それより明日だよ? 美穂へのプレゼント、決めた?」
「あー、まぁ、うん」
「わかりやすいリアクションありがとう」
ジトーっと呆れたような目でこちらを見ている。返す言葉もありません。
「美穂の方は手作りのケーキくれたのにね」
「うぐっ」
俺の誕生日の為に美穂はわざわざケーキを作ってくれた。お菓子作りの得意なアイドルのみんなに手伝ってもらったとは言っていたけど、彼女の真心がこもったケーキは今まで食べて来たどんな食べ物よりも美味しく甘かった。俺もお返しをしないとな、と考えてはいたのだけど仕事の忙しさにかまけたり年頃の女の子へのプレゼントに頭を抱えたりしているうちに気付けば誕生日まで24時間を切っていた。
「加蓮さんや、この後暇だったよね」
「言っとくけど私は美穂ならなんでも喜ぶよーとか言わないからね?」
「恩にきります。あとでポテト奢るよ」
「私イコールポテトって方程式それはそれで気になるんだけどなあ」
とか言いながらも加蓮はおもちゃを見つけたみたいにキラキラしてる。こりゃあ一筋縄じゃいかなさそうだ。
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