武内P「私をドキドキさせたい?」小梅「……うん」
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21: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/12/08(日) 18:03:29.14 ID:obxw+A5Q0
※ ※ ※
白坂さんは大丈夫でしょうか?
一人にして欲しいと言われたので追いかけませんでしたが、こうして一人で事務仕事をしていると不安が次々と押し寄せてきます。
もし白坂さんが、誰の目にも届かないところで倒れていたら……
「……電話をしてみましょう」
声を聞けば安心できるとかけてみたら、聞きなれた着信音が廊下から響き、そして近づいてきます。
「プロデューサーさん……どうしたの?」
ドアが開き、スマートフォンを手にした白坂さんが姿を見せます。
その顔色は先ほどより蒼く、一瞬椅子から立ち上がりそうになりますが――その瞳は先ほどと比べて穏やかで、慌てかけた心を何とか押しとどめます。
大人である私が下手に慌てれば、白坂さんの体調が悪化しかねません。
ここは落ち着いて対処しなければ。
「白坂さんの先ほどの様子が気になってしまったもので。今は少し落ち着いたようですが……タクシーを呼びましょうか? あと30分ほど待っていただけたら、私が寮まで送ることもできるのですが」
「あ……うん、ありがとう。でも、“事情”を話したら、今日は幸子ちゃんと茜さんが一緒に寮まで帰ってくれるって」
「そうでしたか。あのお二人と一緒に帰っていただけるのなら、私も安心できます」
事情というのが何なのか気にはなりましたが、年頃の女の子の事情を詮索するのは野暮でしょう。
「ねえ……プロデューサーさん」
「はい、なんでしょう」
「……えへへ」
白坂さんは照れくさそうに笑うと、私の二の腕に抱きついてきます。
先ほどまでは落ち込んでいたので、それと比べるといいのですが……
「あの……白坂さん。こういったことはしてはいけないと、以前城ヶ崎さんに注意されたではありませんか」
「……わかんない?」
「え……?」
「前との違い……わかんない?」
私の肩に頭を預けながら、至近距離で白坂さんが訊いてきます。
その瞳はなぜでしょうか。これまでとは違う別の色――妖艶な香りを漂わせているように感じ、混乱が深まります。
まだ少女である白坂さんの身に――ほんの数十分の間に、何があったというのでしょうか。
「……わかんないんだ」
「す、すみません」
「フフ。いいよ、謝らなくて」
愛らしく頬を膨らませて不満を示したかと思いきや、クスクスと笑って許してくれる。
この子は本当に白坂さんなのだろうか……?
そんなあり得ない疑問すら浮かび始めた時でした。
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