22: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:26:10.67 ID:86FQdztyO
『もしもし〜? あ、プロデューサーさん』
「っ! おはようございますはづきさん!」
喜びのあまり叫んでしまった。
良かった! これで突破口が見えてきた!
「はづきすいません! 信じられないと思うんですがっ」
『プロデューサーさーん? もしかして、今日のレッスンをお休みしたい、とかじゃないですよね〜?』
「……あれ? 今日って誰かレッスン入ってましたか?」
俺がスケジュールを忘れる筈は無いと思っていたのだが。
……いや、忘れてる事は沢山あったか。
それはこの世界のせいだと言い訳したいが、今はどうでも良い。
そんな事よりも、今の俺の状況を伝えないと。
『プロデューサーさん、ダンスのキレがまだまだですからね〜。今日はみっちりレッスンしますよ〜』
「……………………は?」
俺の? ダンスのキレ?
いやいや、俺はプロデューサーなのだからそれはどうだって良いだろう。
『それとボイストレーニングも入ってますよ〜?』
「……誰のですか?」
『プロデューサーさんのです』
「俺の」
『プロデューサーさんの』
「俺のボイストレーニング」
『プロデューサーさんのボイストレーニングです』
「……一旦掛け直します」
ピッ
……………………?
何が起きているのかサッパリ分からない。
俺はいつのまにアイドルデビューしていたのだろう。
忘れてただけだろうか、いやそんな事あるか。
落ち着いて、次は樹里に掛けてみた。
『おう! 迸る稲妻の閃光! 正義の戦士、ジャスティスイエローだ!』
切った。
無かった事にして、恋鐘に掛けてみる。
『か〜! 摩美々、ここが年貢の納め時たい! ってあれ、プロデューサー?』
「おう恋鐘、今大丈夫か?」
『今摩美々を追い詰めとるけん! よ〜やく長崎の名探偵、月岡恋鐘の勝利ばい!!」
切った。
無かった事にして、真乃に掛けてみる。
「もしもし、真乃か?」
『ほわっ、プロデューサーさん……! 今、事務所に隕石が」
「……はは……ははは……」
ピッ
通話を切って、俺はスマホを放り投げた。
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