【シャニマス】アルストロメリアと幸せな日常
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20: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:24:32.79 ID:86FQdztyO



 こんな世界から、逃げ出さないと……!

 だって俺は、彼女達の『プロデューサー』なんだぞ。

『……でも大丈夫、兄さんはどうせ全部忘れますから』


「っ! っあぁぁぁあっっっ!!」

 ドサッ!

 脳に流れ込んで来た情報の濁流に耐えきれず、俺は書類の山をぶちまけてしまった。
 机一面が書類で埋まる。

 思い出した、そうだ。そうだ!
 全て思い出してしまったぞ。
 俺は知っている、この四月一日を嫌というほど知っている!
 この後千雪が心配して俺の部屋を訪れる事も、俺は覚えている!
 
 コンコン

「兄さん? おっきな音が聞こえましたけど……大丈夫ですか?」

 千雪が入ってくるより早く、俺はメモをポッケへとしまい込んだ。
 このメモは、見つかってはいけない。
 見つかればどうなるかを、俺は身をもって経験している。
 このメモだけは、絶対に見つかってはならない。

「……ん、あぁすまん千雪。片そうと思ったら落としちゃってな」

「もう……小まめに片付けて下さいっていつも言ってるじゃないですか」

 そう言いながら、千雪は散らばった書類を集め始めた。
 結構色んな所まで広がっていたのか、机の下からも出てくる。

「はいどうぞ、兄さん。お部屋のお片付けなら後で私もお手伝いしますから」

「……ありがとな、千雪」

 千雪は、笑顔だった。
 きっと俺が思い出した事など知らないのだろう。
 それで良い、気付かないでくれ。
 まだ俺は思い出したてで、理解したてで、何の作戦も練れていないのだから。

 ……いや、違う。
 これは、確信でもあった。
 千雪は書類の山の一番下を調べなかった。
 彼女からしたら真っ先に消し去りたいメモの存在を確認しなかった、つまり。

 千雪自身も、以前の四月一日を覚えていないのだ。

「……朝ご飯、今日は誰が作ってくれたんだ?」
 
「ふふ。それは後でのお楽しみです」
 
「そっか、楽しみだ」
 
 ならば、このメモだけが頼りだ。
 一枚でも残せれば、最悪次の俺に繋がる。
 勿論本心としては今の俺が逃げ出したいが、それが上手くいっているのなら最初から抜け出せている。
 今回の俺は、兎に角情報を集めよう。



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