博士「どんな本が読みたいんだい?」ホムンクルス「恋愛……小説が読みたいです」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2019/12/01(日) 23:26:19.83 ID:H1GMKT+vO
「435番、具合はどうかね?」
「少し、胸が苦しいです」
「どれ、診てやろう」
体調不良を訴えたホムンクルスを診察するも。
「どこにも異常はないようだが……」
「でも博士、この本を読むと胸が痛いのです」
そう訴えて、一冊の本を差し出してきた。
博士はその本を手に取り、中身を流し読む。
それは悲恋をテーマにした恋愛小説であった。
「なるほど……たしかにそれは辛いものだ」
「どうしたら良いのでしょう?」
「君はこの結末に不満があるんだね?」
互いに愛し合っているのに結ばれない。
その切なさが、胸の痛みを生むのだろう。
そう察して尋ねると、435番は頷いた。
「はい……とても可哀想で」
「ならば、自分で書いてみてはどうかね?」
「えっ?」
「君が望む結末を、書いてみなさい」
博士はそう言って紙とペンを渡した。
何も遊びで提案したわけではない。
より高度な存在となる為の儀式であった。
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