白雪千夜「足りすぎている」
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38:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:17:56.20 ID:QXbKSZYO0
「出来ないことは、頑張ればいつか、出来るようになります。
 出来るようになると、フヴァリーチ……褒めてもらえます。
 小さい頃、パパとママはよく褒めてくれました。
 パパとママ、離れていても、それを思い出せたら、寂しくないですね」

「褒められる、ですか」
「ダー」

 まさしく、現在進行形で褒められているかのように、アーニャさんは嬉しそうに笑った。

「アーニャが素晴らしいアイドルになれば、パパもママも褒めてくれます。
 アーニャを送り出してよかったって……だから、頑張りたいです」


 ――なるほど。
 彼女は、ご両親の豊かな愛を受けて、すくすくと健やかに育ったらしい。

「チヨはレッスン、楽しくないですか?」

 アーニャさんが逆に尋ねてきたが、私はかぶりを振った。

「分かりません。
 おそらく、楽しいもつまらないも、無いのだと思います。
 要求に応えるのが、私の務めですから」


「ンー……チヨ、それはたぶん、良くないです」

 アーニャさんは立ち上がり、やおら私に手を差し伸べた。



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