タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/04/02(木) 23:37:27.61 ID:BXPvmphL0
>>192
の続き
目の形を見ていて気が付いたんだが――結構きれいな顔をしていたんだよな。しっとりとした柔らかい黒髪が肩に触れて、更紗みたいに流れている。長い前髪が右目を覆い隠していて、――おれが見ていたのは左目だった――一本一本の隙間から潤んだ瞳が上目遣いで見つめている。小ぶりな唇が統御を失って震えていたのは先に言ったとおりだ。引きつった口角の両横にある頬は蒼白で、リンゴのような赤らんだ様子はない。精力は伝わらなかった。女なら、そういうのはあってほしいもんだがよ……。
黙って女の体の検分をしていた。ほっそりとした首から、白衣の隙間に顔を出した、窪みが明瞭な鎖骨、その真下、ハッキリとしたことはわからないが、大きいわけではないものの形のよさそうな乳房。細身の腰。小ぶりな尻、痩せぎすな太ももとうって変わって弾力のありそうなふくらはぎ。おれはそれが何だか気に入って、一度試してみたい、そう思ったんだ。掟には触れるが、信条からしてそれが拷問のち死刑に匹敵する重罪とは認めることができないから……。
幾周期か経って同じ場所に出向くと、女は同じ姿勢で座っていた。そのときは周りに誰もいなくって、おれのなかに茶目っ気というか、イタズラ心が芽生えたんだよ。どうしてそんな答えだったのか知らんが、――ここで襲うような仕草を見せたら――その想像はおれを力強くさせた。体の一部がみなぎって、さあこれを放出してやろう。そう思って足音を殺して抜き足、差し足、忍び足で女の死角を縫い背後に立った。女は気づいているようにはおれには見えなかった。あの柔らかそうな髪が背中に沿って、美麗な滝のような印象を与えていた。うなじが髪の一本一本が生み出す間隙の中に自己主張を押し込めていた。滑らかそうな、砂浜のように手触りと想像されるうなじ。色は白くて雪を思い起こさせる。では滾った体で荒らしてやったらこの女は存在ごと消し飛んでしまうのではなかろうか……。
肩を叩いて不思議そうな、とぼけた顔で振り向いた瞬間に、唐突に押し倒してやろう。これから自分がどんな目に遭うのか想像の俎上に及ぶこともなく、ただ降りかかった出来事を理解しようと精一杯の、クエスチョンマークたっぷりの顔で女はおれの顔を見上げるだろう。
いよいよ、いよいよだ……手を肩に伸ばしたその瞬間、女はおれを振り返って見、……幸せそうな笑顔を見せた! ……おれはこれまでただ一度も、あんな笑顔を見たことはなかった。天国の奴らはみんな幸福そうな顔をして跳ねまわっているんだが、それはあくまで幸福の発現であって、幸せの表現ではなかったんだ。つまりは、幸福に満たされているがために幸せを自発的に表すことができなくなっているんだな。それが良いことなのか悪いことなのか、この口では断言できんのだが。
それを向けられたおれは激しく動揺した――さっき言った考えは、おれが捕えられてからまとめた内容だから、そのときは気づいていなかった――。慌てて引きずり倒して服をはぎ、顕わになった胸の頂の突起を強く摘まんだ。あっ、と悲鳴を上げてのけぞった女は痙攣し、白い顔を上気させている。馬乗りになって執拗にいじくり、喘ぐたびにおれは濡れ、……あとはもうそっちで想像してくれ。すべて終わると、女はぜいぜい喘いで火照った顔をとろけさせていた。白いものが流れ出てもいて、唇の縁には泡がついて女が胸部を上下させて呼吸をするごとに小さな粒が爆ぜ、また新しい気泡が湧いてきていたのだ。放出した器官は萎えつつあったが、おれ自身はかえって力があふれていて、まだしたりなかった。もう一度、とまたがりなおそうとしたとき、後頭部に赤い何かが散って暗転した。そして、気づいたら繋がれて、陰嚢、陰茎、陰唇を使用不可になるまで破壊したあと斬首だって……自己弁護の間もなくそう決められた。
なあ、おれは悲しいんだ。どうしてあんな不幸をため込んでいたような女を襲っちまったんだ? どうせなら互いに幸せな気分がよりよいだろうに。おれは何かに急かされ追い立てられ、尊厳を破壊されそうな焦燥に駆られて……あのとき、どうして周りに誰もいなかったんだ? どうしておれを殺す前に、おれを止めるような何かが存在していてくれなかったんだ?
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