742: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2022/08/31(水) 00:27:30.83 ID:GEaWwL4j0
男「どうって、うまく進めないとか、転ぶとか」
叢雲「上手く進めないってことはある。改装でバランスなんかが変わって波を受けたり曲がったりが今まで通りにできなかったりね」
男「お、おう」
叢雲「でも転ぶってことはないわよ」
男「ない?」
叢雲「貴方の想像している転ぶってサーファーがバランスを崩して海に落ちるようなことでしょ?」
男「あぁ、そうだけど」
叢雲「そんなのおかしいじゃない」
男「待て待て、全然意味が分からん」
叢雲「確かにこれは私達ならではの感覚なのかもしれない。けど考えても見てよ。私達は艦よ。名前が分からないとしても船は船。それがただ海に浮かぶことも出来ないなんてありえないのよ」
男「!?」
叢雲「航行訓練ってのは人間でいえば歩行訓練かしらね。でもそれってまずもって自分で立っていることが前提でしょう?」
男「じゃぁ、緋色が転んだってのは…」
叢雲「人なら、例えば骨折とかでまず立つ訓練ってこともあるのかもしれないけど、私達にとって浮くってのは呼吸と同じようなことよ」
脳裏にあの時の光景が蘇る。
叢雲「前提がおかしいのよ」
嫌な記憶程よく覚えているものだ。
叢雲「浮けないって、それだけ異常なことよ。出来るとか出来ないじゃなく、存在としての根本からおかしいのよ」
多分最も恐れていた状態。
叢雲「だからこう尋ねるしかないのよ。大丈夫なのかって」
秋雲の時と同じだ。
叢雲「ちょっと!」
工廠を飛び出し港の緋色に駆け寄る。
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