695: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2022/06/30(木) 00:36:30.92 ID:CLLeU+aS0
執務室に入り扉を閉める。
いつも誰かしらが出入りしているここも、今はガランとしている。
叢雲「あぁ、そっか」
静けさに包まれて私はふと理解した。
褒められたかったんだ。
活躍すれば皆褒めてくれる。それは嬉しい。
勿論司令官も褒めてくれる。とても嬉しい。
でもそうじゃない。
私達は本質的に人々を脅威から守るのが役目だ。
鎮守府にいると忘れがちだけれど、そのためにここを、海を守っている。
艦隊の皆も、司令官も、いわば一緒に走る仲間だ。
だから私は、そんな私達を後ろから見ている誰かに褒めて欲しかったんだ。
あの人とあの少女の言葉が、古傷の様にじわりと体の芯に突き刺さってくる。
叢雲「あぁもう」カァァ
身体が急激に熱を帯びていくのを感じる。
肩が上がり、手足が強ばり、顔が火照る。
そんなことを無意識に考え、いの一番に彼らに伝えに行った事がとても恥ずかしかった。
そして同じくらい、その結果に、二人の言葉に、嬉しいと感じた。
ただ戦ってるんじゃない。私達の戦いは、意味があるんだ。
不思議な感覚だった。
これがどういった感情なのか、私はそれを表す言葉を持ち合わせてはいなかった。
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