23:伊丹 [sage]
2019/10/26(土) 00:13:32.93 ID:SXeAMA+D0
あの子を手放してから、
ずっと恋しかったあの子の、声。
最後に聞いたあの悲痛な叫びじゃない。
いつもの、あの子の声。
あの子に乗っている間、アタシ、あんな顔していたんだ。
お別れ会を開いて、キッパリ別れを告げるはずだったのに。
映像の中のアタシ達は、まったく別れを感じさせる雰囲気じゃなくって……
あの子となら、別れすらも楽しい思い出になってしまっていて。
今、こうしてあの子が走っている姿を見て、
濁流のように一緒に走った思い出が脳裏を駆け巡る。
レッスンが上手く行ったとき、
失敗して落ち込んだとき、
急な雨に打たれたとき、
昴とツーリングしたとき……
その全てのアタシの時間に、いつもクラウザー号がいたことを、たしかに思い出す。
あの子は、たしかにもう居ない。
でも、あの子と走った 距離(きおく) は、絶対に消えない。
少なくともこの映像の中ではたしかに、あの子はイキイキと走り続けてる。
探す必要なんか、なかった。
ずっと、いてくれてたんだ。
アタシの瞳から、雫が落ちるのを止められない。
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