324: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2020/02/03(月) 03:14:58.89 ID:L/MaCyf+0
ーーー春ーーー
女「お加減はいかがです?」
ケモノ「大分良くなった。最早外からでは見えぬ程には塞がったな」
女「化膿などもしていないようで、安心しました」
ケモノ「あぁ」
女「……」
ケモノ「……」
女「暖かい時分になりましたね」
ケモノ「そうだな」
女「……これから、川へ向かうのです」
女「越冬の為に取り置いていた水が底を尽きてしまったので。また、暑くなってくれば戸の付け替えもしなければならないでしょう」
女「女手一つでは何かと苦労の絶えない日が続きます」
ケモノ「……」
女「…何処かに、助力をして頂ける方がいらっしゃればいいのですが…」
ケモノ「………」
ケモノ「……俺は、この身が癒えるまではここに居ると、そう言ったな」
女「……」
ケモノ「だが、この身が癒えてからここを去るとは言っていない」
女「!」
ケモノ「貴女と共に居たいと、考えている」
ケモノ「人ではない俺のような者が、貴女の傍に居てもよいだろうか…?」
女「はいっ、勿論です」ニコッ
ケモノ「…感謝する」
女「それでは早速参りましょう!この山に積もった雪は汚れがなく、その雪解けが流れ込むお水は本当に美味しいのですよ!」テテテッ
ケモノ「あぁ理解した。だから雪上を走るのは控えるんだ。危険だぞ…」
『弥生 六
いつの間にかあの人の居る生活が当然となっていました。今日はあの人の口から、共に在りたいと聞く事が出来ました。…これ程心が躍るのは何時振りでしょうか。』
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