【天華百剣】( ^ω^)ビンビン敏感!!乳首一本釣りのようです【ブーン系】
1- 20
5: ◆L6OaR8HKlk[sage saga]
2019/09/28(土) 21:33:41.91 ID:7zR2kMu80
取引先の一つとして、数日に一度食料品を卸していたのだった。仕事の手伝いはこの頃からやらされていたが、初めて赴く場所だった
兄が親方と話している最中、熱気と人の肌がぶつかり合う稽古の様子を眺めた
張り手の強烈な破裂音。四股を踏む度揺れる地面、そして何より、土俵際でせめぎ合う力士の勇ましさ
俺と同じく、醜い肉の塊でありながら、その姿はまさに『力士』に相応しく、『かっこよかった』


『これも、個性を活かす道や』


兄は夢中で齧り付く俺の頭を撫でながら、優しく説いてくれた
今を思えば、腐っていた俺を立ち直らせる安易な誤魔化しだったのかもしれない。だけど、この瞬間に俺の人生の指針が決まった
『お相撲さんになろう』。ありのままの自分の『個性』を活かし、魅せ、そして好きになれる人生を歩もうと決めたのだ

齢十四になって、俺は両親と兄に頭を下げ、その相撲部屋に入門させてもらった
幸いにも、俺は家族に恵まれていた。家を継がないのは寂しいし残念だが、目一杯応援すると激励を受けた
兄貴からは厳しい言葉を賜った。『天辺を取れ。それまで家の敷居を跨げると思うな』
望むところだった。必ず、家に錦を上げて帰ってくる。そう返すと、兄貴はキツく俺を抱き締めてくれた
最後に涙を流したのは、これきりだったな。この日から俺の親は『親方』になり、俺の兄は『兄弟子』に変わった

どこの世界もそうだが、新入りの洗礼というものは苛烈極まりない。日が昇る前に目を覚まし、兄弟子の仕度や掃除、洗濯を行い、飯を炊く
事が済んだら稽古が始まり、最早『私刑』と大差のない『可愛がり』を受ける。土を舐めたのは一度や二度どころでは無く、毎日だった
稽古が済めばまた家事を行い、兄弟子達にあん摩を施す。塩梅が悪ければ張り手や蹴りが飛んできた
辛い毎日だったが、挫けることは無かった。家族の言葉……というより、『いずれ俺が天辺を取るんだから今の内にいい気になってろクソボケ』という、報復ありきの意地と野望からだ
そうして毎日を繰り返す内に、少しずつ、少しずつ、痛みや疲労が減っていき、代わりに『力』が付いていった
強くなる実感は、俺の背中をより強く後押しする。二年が経ち、三年が経ち、身体が子供から大人へと変わっていき


力士として認められ、親方から新しい名前を賜った


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
67Res/82.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice