2: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/16(月) 22:48:47.66 ID:ajLiiV4A0
「誕生日の日、どうしても午前中に収録のお仕事が入ってしまった」プロデューサーさんにそう聞かされたのはひと月前で、あたしだって子供ではないから、すぐにその場で仕方ないよな、と受け入れたのを覚えている。
そして誕生日当日が今日で、収録の終わりがさっき。
収録を恙なく終えて、カメラが止まったそのとき、どこからともなくクラッカーの音と紙吹雪がが飛んできて、共演者の人とスタッフの人たちから誕生日のお祝いをしてもらったのだった。
みんなから「おめでとう」の言葉をもらい、最後に手渡されたのがこの花束だ。
サプライズでお祝いしてもらえるなんて思っていなかったのもあって、あまりの嬉しさにハイテンション気味で楽屋に帰ったところ、プロデューサーさんに大笑いされる、なんていうこともあったけれど、それはまぁ置いておく。
「っつーか、だよ」
「ん?」
「アンタはなんかねーのかよ」
「んんー、そうだなぁ。どうしようかな」
社用車のキーを人差し指に引っかけ、くるくる回しながらプロデューサーさんは考えているようなそぶりを見せる。
つまるところ、何も考えていなかったのだろう。
担当のプロデューサーよりもテレビ局の人たちの方があたしのことを考えてくれてるってどうなんだ、と思わないでもなかったが、既におめでとうの言葉は言ってもらっているし、何かプレゼントをもらえることを当たり前だと思うのも傲慢である気がするので、黙る他ない。
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