40: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2019/09/11(水) 21:36:10.68 ID:ULa3Qe3C0
薬屋「……男が刀を抜いている姿を見たことがあるか?」
女盗賊「…?いや、そういえばないけど…徒手空拳が彼の闘い方じゃないの?」
薬屋「とんでもない。あんなの利き腕をもがれた剣闘士と同じだ。男の本分はその操刀術にある。それこそ、一組織を瓦解に至らしめるほどのな」
女盗賊「それは……ちょっと見てみたいね」
薬屋「一見分からないが、今も体のどこかに帯刀してはいるはずだ」
女盗賊「なんで使わないのよ?」
薬屋「…抜刀した姿が、妻子に不評だったみたいだよ。だから、刀を抜かずに過ごしていれば、いつか彼女達が帰ってくるかもしれない……そう思いたいのかもね」
薬屋「バカな男だよ、本当……」
女盗賊(………)
ーーーーー
男「──お前にお似合いの名前だろ。ははっ」
ーーーーー
女盗賊(あの時の笑み)
女盗賊(親だったときのあんたはしょっちゅう見せていたんだろうね)
女盗賊「……もう一ついい?」
薬屋「なに」
女盗賊「薬屋ちゃんは?男の過去は分かったけどさ、薬屋ちゃんが男とどうやって知り合ったのか、なんでそこまで男のこと好きになったのか……それを聞かなきゃ今日は眠れないなぁ」ニヒ
薬屋「聞かせると思うか?」
女盗賊「男の仕事で知り合ったとは聞いたわ」
薬屋「……私がまだ成人していない頃、隣国に狙われていた私を助けてもらったんだよ」
薬屋「これでもお前よりは知名度があるもんでね。私を利用しようとする輩は他にもいたが……男がここへ連れて来て、隠してくれた」
薬屋「……あの約束も……」ボソッ
女盗賊「ほーん……ま、隠れ蓑には最適な国だからねぇ。平和だよここは」
薬屋「最近は物騒になってきたがな」
女盗賊「しっかし、薬屋ちゃんも女の子だね。相手は仕事をこなしてただけかもしれないのに、ずーっと想いを寄せてきたんだ?」
女盗賊「きつい性格してるなーと思ってたけど…案外一途な乙女よね〜」
薬屋「……」スッ
女盗賊「はい分かった。今のはウチが悪かったからその鋭利な刃物は置こうか」
薬屋「ったく…」
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