7:名無しNIPPER[saga]
2019/08/25(日) 13:59:09.99 ID:BguiV92Q0
『…あ、僕スマホ持ってたじゃん!!』
ふと尻ポケットの硬い存在を思い出し、119番に掛けようとキーパッドを開くが、手が震えてうまく打てない。くそ。たった3つなのに!!
僕はあまりにも震えがひどいので、隅に座って休むことにした。
サヨリは相変わらず床に突っ伏して動かない。
8:名無しNIPPER[saga]
2019/08/25(日) 14:00:24.16 ID:BguiV92Q0
僕はバイトに行く途中だったんだ。時間になっても出社しなければ、誰かが心配して家に連絡をしてくれるはずだ。
サヨリだって待ち合わせをしていたみたいだし、相手も心配して何かしらの行動をとるはずだ…
僕は考え事をしているうちにウトウトし出した。
9:名無しNIPPER[saga]
2019/08/25(日) 14:01:24.82 ID:BguiV92Q0
『ってことがあったんですよ!ほんと怖くないですか!?いやぁその後なんとかなったとはいえ、生きた心地がしませんでしたよ〜』
ここは探偵事務所。応接室で正面に座った男は今日の依頼者だ。自分が乗っていたエレベーターが落ちたとかで、運営会社がちゃんと機能しているかを調べて欲しいとか。
『そうなんですか。大変でしたね』
俺は相当うんざりしていた。この男は途中から同じ話ばかり…
10:名無しNIPPER[saga]
2019/08/25(日) 14:05:53.77 ID:BguiV92Q0
『実は僕、家の近くの病院で生まれたんですけど…そこ看護師も医者も一人もいなかったんですよ?今じゃ潰れましたけど…考えられませんよねー』
男は武勇伝の様に語った。
『あ、ああ。それはすごいですね』
俺は疲れからか笑顔がひきつるのを感じた。
『あ、僕そろそろバイトなんで、あとはよろしくお願いします』
11:名無しNIPPER[saga]
2019/08/25(日) 14:06:34.99 ID:BguiV92Q0
『やっと帰りましたね〜先輩』
こいつは俺の後輩だ。どうやら隣の部屋で俺の話を盗み聞きしていたらしい。動くたびに黒いフレアスカートがふわりと揺れ、香水の匂いがした。
『おー。盗み聞きは面白かったか?』
『やめてくださいよ〜人聞きの悪い…それにしても気になりません?さっきの話』
『あー、さっきの男の話は気にする必要はないよ。忘れた方がいい』
12:名無しNIPPER[saga]
2019/08/25(日) 14:07:58.50 ID:BguiV92Q0
『それ本当ですか!?!?』
さっき帰ったはずの男が帰ってきた。先ほどの話が聞こえてしまったらしい。
『…聞いてたんですか』
『どういうことですか?その、僕は…!』
『君はもう…』
13:名無しNIPPER[saga]
2019/08/25(日) 14:09:33.69 ID:BguiV92Q0
『お前…何か話さなくてよかったのか?』
俺は横にいた後輩に目をやった。
『なぁ、サヨリさん』
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