58: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/09/30(月) 22:53:29.09 ID:P1xDypFl0
玉を握った私が先手だ。7六歩。まずは角道をあける。
「ポーラは読めません。荒唐無稽と言いますか、一貫性がないのです。ちまちま稼いでると思えば急に全財産を賭けてみたり……酩酊の為せる業なのかもしれませんね。
グラーフはいかにもドイツ流です。確率を計算し、期待値通りに動きます。定石のある場面ではきちんと定石を打ってくる。場面によってぶれない。質実剛健とは彼女のためにあるような言葉ですね」
飛車先の歩を衝いたのに合わせて8八角。私は同銀と返す。そして不知火の指がとったばかりの角へと動き、ぱちん、少し甲高い音を立てた。
「筋違い角、ね」
歩の一枚はとられるとして、果たして大きく戦況に左右するだろうか。それよりも角の位置が一見して悪そうなことに気をとられる。
「……奇手奇策が好き、という自己紹介かしら」
呟きを不知火は聞き逃さなかった。自慢げに、これがわたしなのだとばかりに――あるいは「よくわかっているじゃないですか」とでも言うように、不敵に笑う。
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