【艦これ】山城「不幸のままに、幸せに」
1- 20
34: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/08/22(木) 00:16:24.72 ID:ihyj2nok0

 私たちは走った。走り続けた。朝の農道を。昼の畦道を。夜の隧道を。
 気分はさながら、嘗てドラマで見た恋人の駆け落ち。迫る追っ手、逃げる主人公、試される真実の愛。
 違うところと言えば、迫る追っ手はおらず、私たちは決して主人公足りえないという、二点だけ。真実の愛は既に試されていて、乗り越えたからこそ、いま私たちは走っているのだ。

 変な男と結婚させられなくてよかったね。と私が言った。九州は、離れ離れになるには遠すぎるもの。
 不幸続きの人生にも、たまには好機は巡ってくるのね。と姉さまが言った。旅立ちの前日に、家が失火に見舞われるなんて。

 顔を見合わせて、笑う。そしてまた走り出す。家事の混乱に乗じて、誰も知らないどこかへ行って、清貧でもいい、静かに暮らしたかった。二人一緒にいられるのなら、地獄の方が天国よりもましに思えた。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
247Res/192.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice