23: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/08/21(水) 01:34:01.75 ID:zqrS27Hw0
「グラーフ・ツェッペリンだ。艦種は空母」
もしかしたら視線で思考が伝わってしまったのかもしれない。銀髪の女性が直立不動で名乗った。堂々とした態度。その確かな存在感は、私には光沢のある金属を想起させる。
「た、大鷹です。軽空母……です」
こちらの挨拶は控えめだった。引っ込み思案というよりは、年上と話すことにあまり慣れていないように感じられた。
「後藤田だ。後藤田一という。俺は見ての通り男だから、艦娘じゃあねぇ。こいつらを指揮する……お前らふうに言えば、『提督』ってやつになるのか。この部隊、『浜松泊地』を預かっている」
最後に傷の多い男が名乗る。野太い、芯のある声。決して揺らぎそうにない力強さ。
その表現はどこかきちんとした線引きがあることを示唆している。あるいは、彼もまた、この隊を任されて日が浅いのか。
それでも私には、この後藤田という男性と、彼の部下であろう三人が、強固な絆で結ばれているように見えて仕方がなかった。とかく些細な営みのほうが、信頼は強く表に出るものなのだ。
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