191: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/08(日) 11:04:19.94 ID:d80kTEDO0
出入りしている業者の詰所、防災倉庫、あるいは資材庫など、説明を受けながら鎮首府内を回るだけでもゆうに一時間は経過してしまっていた。夕張は先頭を歩きながら快活に、こちらを見ながら後ろ歩きで、捲し立てるように言葉を紡ぐ。
私たちは所属ごとに塊になりながら歩いていた。「浜松泊地」、呉、パラオの順番だ。さきほどの顔あわせの時にはいなかった、呉とパラオの残りの五人もいる。やはりどこも六人一組で作戦にあたるようだ。
夕張が私たちを案内するのは、勿論私たちが作戦終了までこの佐世保に厄介する以上は当然なのだが、それ以上に牽制の意味を込めているように感じられた。
「近づくな」という言葉の意味は単純ではない。親切心から来ているのでなければ、そこには言外の忠告を孕む。詮索するな、ここは私たちの庭なのだから、という。
西側の防風林、その奥にある有刺鉄線を備えた塀を見ながら、私は考える。
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