179: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/25(火) 23:47:47.80 ID:OpIC7hvy0
「……行くぞ」
「……はい」
後藤田提督に声を掛けられ、私たちはそこでようやく自らの身体の自由を得る。
私は夕立という少女の背中へと目をやった。
べっとりと、どす黒い、錆びた血の色が貼りついている。
いや、背中だけではなかった。肩、胸元、そして首筋から頬、額に至るまで、飛沫がそこかしこに付着しているのだ。
その正体を私は知っていた。私たちは知っていた。深海棲艦の体内を循環する、命脈としての汚れた油に他ならなかった。
なんら珍しいものではない。変哲のある代物ではない。だって彼女もまた艦娘なのだから。
だのに。
なんだ。
なんなんだ、あれは。
まだ年若い少女特有の無邪気さ、天真爛漫さ。そして狂った野犬のような血と死の臭い。それらが両立するだなんて。
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