156: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/19(水) 21:20:43.01 ID:5AFgp54J0
「?」
ついに空になったボトルの底を天へと向け、数滴、舌の上へと落とす。
「……」
私だって、海の上に残ることを選んだ。選んだのだ。そう、私が。誰に強制されたわけでなく、他ならぬ自分自身で。
このまま負け続けるわけにはいかなかった。不幸せに甘んじるわけにはいかなかった。
幸せは勝ち取るものだ。少なくとも、私にとっては。勝ち取ってこそ。自らが手を伸ばし、掴んだものにこそ、至上の幸福が宿っている。だから私はいまここにいる。こうしている。生きている。
もしも全てが終わった暁には、私にも恋ができるだろうか? あのグラーフのように、姉さま以外の誰かのことを想って、澄み渡る笑顔を浮かべることができるだろうか?
あるいは、誰かの隣を歩きたいと、そう思えるときが来るのだろうか?
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