119: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/14(月) 21:58:01.64 ID:UFSxYV+50
大淀が肉を一口大に切っていく。ちょうどいいミディアムレア。薄く桃色の内部からは、切ったそばから肉汁が溢れ、照明を反射しててらてら光っている。
フォークでそのうち一つを刺して、口へと運んだ。そのまままるっと一口で。
「それに、思いませんか?」
眼鏡の奥の瞳は笑っているが、獰猛の色が隠せていない。
「人が死んだら、寝覚めも悪い。食事の味も感じない」
「……」
豚の生姜焼きを口に運ぶ。甘辛い。鼻へと通る生姜の爽やかさ。五穀米の風味とバラエティに富んだ触感が心地よい。
きっとそれは、私が死を乗り越えつつあるということなのだ。大淀の言葉が正しいとするのならば。
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