103: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 23:02:21.53 ID:L3t7G6Qz0
「そもそもてめぇはまだ終わってない。これから始まるんだ。これから」
後藤田提督は言う。それは、私には、これから北国での新しい人生が待っていることを指しているのだろう。
そうかもしれない。確かにそうだ。だからこそ私は「終われない」という表現を使っているのである。私と提督の認識は殆ど同一で、唯一そこだけが異なっている。
姉さまはいつも儚い笑みを浮かべていた。不幸な人生に疲れ切った、気を抜けばぽとりと地に落ちてしまいそうな、満開の椿にも似た笑み。私にはわかる、あれは諦念なのだ。諦めてしまえば、受け流してしまえば、どんな境遇も辛くはないのだという。
泣きたくなる処世術。私はそのたびに姉さまの手を無言のうちに握って、「ちょっと山城、手が、手が痛いわ」だなんて言われても聞き入れなかった。
死の間際、あのひとは何を考えていたのだろう。やはり儚い笑みを浮かべながら、あぁ不幸だわ、なんて思っていたのだろうか。諦念のうちに、深海へと沈んでいったのだろうか。
私には、それはできそうにない。
このままでは終われない。
247Res/192.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20