【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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6: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:22:13.83 ID:oj63shz20
 普段持ち歩いている手提げカバンは置いていくことにした。同様に夏葉も手ぶらで車を降りる。貴重品だけをポケットにしまって、俺たちは駐車場を後にした。

 それは暗黙の了解であるような気がした。結婚、将来、幸福……そういった直ぐには答えが出ない問いを、取りあえず車内に置いていこうという同意だ。どうせ一時間とかからずに車に戻るのだから、と。

「こっちよ」
 夏葉が一歩前に出て先導する。車で通って来た道を引き返していたので、行き先はすぐにわかった。

「わざわざ正門に回るのか?」
「昔はいつも正門で待ち合わせていたじゃない」
「それもそうか。……順序は大切だ」

 歩いて五分とかからずに正門に到着する。七年前までは夏葉を迎えによく訪れた場所だ。目の前の光景に対して、「あまり変わってないな」と感想を抱けるくらいには記憶が残っていた。

 平日の昼間なだけあって人通りは多い。学生や教員とおぼしき人たちが、思い思いに歩いている。能天気そうに空をボケっと見上げている人もいれば、何かに悩んでブツブツと呟いている人もいた。

「夏葉に気づかれて騒ぎにならないといいんだが」
「大丈夫よ。変装に抜かりはないわ。人も多いし、そんなに心配することないと思うけど」

 夏葉がリネンの白地の中折れ帽子を目深に被りなおすと、薄茶色のサングラスが暗く光った。

「人気がある場所だと、むしろ気付かれにくいのは確かだが……いざそうなった時に騒ぎが大きくなるじゃないか」
「それも問題ないわ。アナタは私を誰だと思っているのかしら」

「対応には自信あり、か。夏葉らしいな。頼もしい」
「ふふっ、どういたしまして! それに実際もう慣れっこなのよ」

 その言葉からは貫禄が滲み出ていた。俺は安心して辺りを見回す。思い出話のネタ探しだ。


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