【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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57: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:54:57.39 ID:oj63shz20
 ――たぷりと、水の溢れる音がした。

 ブライダルフェアに向かう途中の道、男は水音に立ち止まった。不可思議だった。あたりを見回しても大きな水場はない。あるのは焼けたコンクリート道路と、子供が遊びまわっている公園だけだ。男は首をひねる。

 男の数歩先を歩く女性が振り向いた。男の妻となる女性だ。楽し気に「置いて行っちゃうわよ」とはしゃぐ女性に、男は右手をあげて応える。そして歩き出した。

 ――再び水の溢れる音がした。

 今度は立ち止まらなかった。男はそれが幻聴だと理解したからだ。幻聴だと理解した上で、男は水音の鳴る方に手を伸ばす。

 男は思う。気怠さを感じるほど暑い太陽と、膨らんでいくような湿気った夏の空気と、その中を軽やかに歩く最愛の女性を見て思う。男は自身の胸に手を当てていた。

 ――ああ、

 ――ああ、俺の幸せは、ここにある。


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