【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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10: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:24:39.49 ID:oj63shz20
 学食は活気ある賑わいと彩りを見せていた。変わらずの懸念事項であるのは目立つことだが、それも杞憂に終わりそうだ。冴えないスーツ男とサングラスの美女が混じっていても奇妙ではない程には多種多様な人がいる。

 ぶかぶかのリクルートスーツを着た男女に、髪の天辺から爪先まで派手な色に染めている女性、よれよれの白衣に眠そうな目をした壮年の男性などなど。他にも一括りにできぬ人々が集団を成している。そして姿格好以上に、学食にいる各々が自分自身のことに手一杯であるという印象を受けた。無論、良い意味で。

 俺はカツ丼を、夏葉はサンドウィッチを注文して席に着いた。

「先に断っておくが、俺の昔話なんか面白くないぞ。別につまらない人生を送ってきたわけじゃないが……普通すぎて話にする分にはつまらない」

 嫌味を言うつもりは無かったのだが、暗に「君とは違って」というニュアンスが混じってしまったのは否めなかった。夏葉が可愛らしくむっとした。

「私だって面白おかしい人生を送ってきたわけじゃないわ。有栖川家に生まれて、親の期待にそって進学して、二十歳でトップアイドルを夢見て、九年間それに邁進して今に至る。話にすればこれくらいのものじゃない」

「それは色々と端折りすぎじゃないか?」
「話の愉快さは期待していないってこと。私のアナタに対する興味の問題よ」

 夏葉は卵サンドに口をつけると、うつむきがちに瞳を揺らして「下世話だったかしら」と付け加えた。俺は「いや嬉しいよ」と答えて、割ったばかりの木箸を置いた。



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