双葉杏「透明のプリズム」
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3: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:00:26.07 ID:OJA0wgUK0



『緑色の空はどこにある?』


私は考え込む。
なぞなぞと言うぐらいなんだから単純な言葉遊びかな、と思って、空とか緑とかの言葉を頭の中でくっつけてみたりしたけれど、それらしい答えは浮かんでこない。
方向性を変えて、緑色の空を想像してみる。
緑色の空の街――一本の道路がビルの大森林の間を貫いていて、車が次から次へと道路を通り過ぎていく。
そんなどこにでもあるような光景の真上に広がる、メロンソーダのような色をした空……。

息の詰まるような雰囲気だな、と感じた。
まるで上から誰かに抑えつけられているような、いくら重力に逆らって泳いでみても酸素を得られない水中にいるような感覚だった。
単なる想像にもかかわらず、私は気分が悪くなって、緑色の空というものについて考えるのをやめた。


「わからないよ、降参」


左手をひらひらと動かす。
運転席からは、「考える時間が短すぎる」だの、「もっとちゃんと考えてよ」だの、そういった類の愚痴が聞こえてきた。
めんどくさいの一言で一蹴すると、プロデューサーは口ごもった。
――窓の外を見上げると、街は一点の濁りもない純粋な闇に包まれていて、その黒さが私を安心させた。





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