89:名無しNIPPER
2019/08/09(金) 14:49:20.48 ID:+iujvg/60
ジャスミンが一定間隔で風の槍を撃ち続ける。
俺は剣を後ろに引き、構える。俺は『レヴァンテイン 』の能力を少し引き出せるかどうか、試してみる。
完全に発現させると面倒な事になる予感がするからだ。
神経を研ぎ澄ませる。ゆっくりと、中から力が溢れるイメージ。
ハイゴブリンは吼えると、こちらに突進してくる。ジャスミンの風の槍が止まった。何かを呟いているか、あまり余裕は無さそうだ。
……来た。身体の変化がわかる。イメージするのは真空刃。何故だかは知らないが出来る気がする。俺は体重を乗せて、全力で振り抜く。
「グガァァァァッ!!!!」
「よっ……しゃぁ!」
イメージ通りだ。真空の刃がハイゴブリンを襲い、横一文字に血飛沫をあげる。ハイゴブリンは勢いに押されたのか、後ろに倒れ込む。
「…切り刻め」
ジャスミンはその隙を逃さない。目に見える程の、いくつもある円形の風の刃がハイゴブリンの周囲を不規則に飛び回り、切り刻む。
それが決定打となり、切り刻まれたハイゴブリンは息絶えた。
「すげぇな…」
思わず呟く。
「お、男さんも……凄いですっ!」
聞こえていたか。ジャスミンは屋根から飛び降りて、俺のそばに寄ってきてお辞儀をされた。
「ありがとう、ジャスミン」
俺はその瞬間、頭に一筋の閃光が走る。待てよ、ここでジャスミンの頭を撫でたら、何か漫画の主人公っぽくね!?やるか、やってみるか!?
俺は頭を下げているジャスミンに手を伸ばす。
「貴方達、少しはやるじゃないの」
「想像以上の方々ですね。頼もしい限りです」
お爺さんとお嬢様が、席から立ってこっちに歩いてくる。ジャスミンも頭を上げ、俺の手は引っ込んだ。
すると、お嬢様は俺の顔を覗き込み、訝しげな顔をする。
「貴方……その眼は何?」
「え?」
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