277:名無しNIPPER[sage]
2019/08/27(火) 16:48:34.88 ID:qXuBnPadO
〜
足止めをしてから1時間くらいが経過した。兵士達を反対側に居るアレスの増援に行かせ、この場には俺だけが残る。
多勢に無勢も良い所だが、ヴァーダという肩書きが群れた冒険者達を抑制している。
俺は先程投げ捨てたリュックを取りに行き、中から食料を漁る。こんな状況とはいえ腹は減る、腹が減っては戦は出来ぬとも言うしな。
食事の内容を何にしようかと漁っていると───。
「私はそれが良いな」
「!?」
背後から女性の声、驚いてその場から飛び退いた。短剣を抜き身構えると、そこには敵の大将…白仮面が居た。
「ふふ、驚かせたかな?そんなに退かれるとは思わなかったよ」
「お前……いつの間に…」
気配とか足音とかが全くなかった。
「おや?この前私にぶつかった人じゃないか」
「そん時はどうも…」
「へぇ、まさか君が……全く、奇妙な巡り合わせもあったものだな」
白仮面は楽しそうに笑う。女性のような雰囲気だが、黒い外套の中の黒装束は男物だ。こいつもノワールと同じで性別がわかりにくいな。
「それにしても…どうしてここに『聖光』があるのかな。そして何故君が持っている?」
「別に…教える必要は無いだろ」
「…そうか。まぁ今はこの件は置いておく。たしか…私と一騎打ちをしたいんだろ?」
「……」
1ミリもしたくないよ。なんでアレスの所に行ってないんだこいつ。
「ふふ、いいよ」
白仮面は腰に差した長剣を抜くと、普通の剣とは違った赤い剣身だ。俺は固唾を飲み込み、今までの相手とは格が違う為レヴァンテインをフル稼働させた筈だが、あの漆黒の篭手は発現しなかった。
「じゃあ…やろうか」
「!?」
突如、白仮面から尋常ではない圧が放たれた。本能でわかる、こいつには勝てないと。
奴は長剣を下に垂らして構えているだけなのに胃が縮む、足が竦む、手が震える。
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