266:名無しNIPPER[sage]
2019/08/26(月) 14:40:07.19 ID:/3Y1wdthO
「ちょっと色々と確認がしたいんだけど…」
俺は兵士達をチラチラと見る。ノワールから仕入れた情報を、国に仕えている兵士に聞かれるのは良くない。
お爺さんは気付いたのか、兵士に指示を出して人払いをしてくれた。
「ありがとうございます。この戦争はそもそも、クレアの結婚破棄から始まった物なんだよな?」
「……よく知ってるわね、一部の者しか知らない筈だけど」
「情報屋ですね。ノース帝国には秀抜な情報屋が居ると聞き及んでおります。確か…名をノワールと言いましたか、情報の正確さや質の良さから冒険者からの人望は高いですね」
流石お爺さん、詳しいな。
「俺も多少は事情を知ってる訳だけど、何で結婚破棄したんだ?」
「…………」
クレアは一瞬動きが止まるが、手に持ったティーカップを運ぶのをやめてテーブルに戻した。
「お嬢様…お話しても?」
「……ふん」
「では……お嬢様が結婚を破棄なされたのは、アレス様の為です」
「アレスの…」
予想の範疇というか、やっぱりというか。政略結婚の定番とも言える事だが、当人にはちゃんとした想い人が居て、様々な事情から他国のお偉いさんと結婚するという話はよく見る。稀に全体を見て結婚するやつもあるけど。
そしてそれを阻止するのは想い人だったり、第三者の主人公だったりと戦争に発展する物は多くはないが、無い話ではない。クレアにとっての想い人がアレスだったのだ。
「前にもお話ししたと思いますが、お嬢様にとってアレス様は唯一友人として接してくれ、誰にも心を開かなかったお嬢様も次第に変わられました」
「お二人の仲はメリルの民なら皆知っています。いずれは婚約するだろうとも言われていました。ですが…」
「…ラグーンの密輸」
「その通りでございます」
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