204:名無しNIPPER[sage]
2019/08/19(月) 16:35:54.29 ID:za88siOXO
あれは…少年か?栗色の短い髪、小柄な身体には短刀を持っている。パッと見た感じや軽装な格好から、シーフを思わせる。だが、魔物を捉える目付きが子供のそれではない。怯えた様子は一切無く、相手の出方を窺っているのが分かる。
あんな少年も冒険者なのか?苦戦しているようだし、加勢しなきゃ…!俺は茂みを飛び出し、剣を抜く。
「おいこら!俺が相手だ!」
大声で挑発すると、魔物は俺の方へ顔だけ向ける。少年も一瞬驚くが、すぐに魔物に視線が戻る。
「どうした!かかってこいよ!」
手を大きく使ってこっちに来いとひたすら挑発すると、魔物は俺に身体を向け、歯ぎしりをした口からは涎が垂れている。こっっわ、何こいつ。
俺はレヴァンテインの力を発現させる。準備は出来た、どこからでもかかってこいや。
「グルルルル…!」
魔物が俺に向かって歩きだそうとした時、少年が斬りかかる。その動きは速く、思わず口から言葉が漏れた。
魔物の身体を刻むが、短刀では致命傷となる程の攻撃は難しい様だ。魔物が鉈を振り、少年は簡単に交わすと凄い速度で俺の傍にやって来る。
「……耳」
「え?」
少年から出た言葉に一瞬困惑するが、魔物を見て理解する。魔物が息を大きく吸う動作をしていたのだ。直後、恐ろしい声量の叫び声と声の圧力というのか、身体が少しぐらっと後ろに下がる。
耳塞いでもこれって……塞いでなかったらマジでやばいやつじゃん。
その際少年は耳を塞いでおらず、俺は疑問符が見えるくらいに意味が分からなかった。鼓膜破れてんのかな?
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