144:名無しNIPPER[sage]
2019/08/15(木) 14:31:37.53 ID:LlQ5T+rGO
「とりあえず…宿を探しながら街を見て回ろうか」
「え……クレア達達は…良いんですか?」
「ああ、それなら大丈夫だと思うよ」
俺は入口すぐの厩舎を指差す。
「馬を預ける時にクレア達の馬が居たんだ。だから多分、奥に見える城に居るんじゃないかな」
「あ……そうなんですね…良かったぁ…」
「クレア達は逃げないし、今日はとりあえず休もう。あまり長旅に慣れてないから、疲れちゃったんだよね」
疲れたとか言わないジャスミンの前で言うのは少し恥ずかしくて、照れ隠し代わりに頬を指で掻く。
「あ、はい……そうしましょうか」
「じゃ、行こうか」
俺は街へと向き直し、歩こうとしたら袖が後ろに引っ張られた。振り返るとジャスミンが俺の袖を摘んでいる。俯いていて、モジモジしている姿はとても可愛らしく見えた。
漫画とかでよくある別れを告げて背を向ける男の服を女が掴んで本音を漏らす的なそういうシーンが次々に頭を過ぎる。
「あ、あの…その……私…」
俺は察した。なるほど、俺を壁代わりにしたいんだな。メリルの町でも木の影に隠れているくらいだ、人混みを歩くのは苦手なのだろう。
「いいよ、後ろに隠れてても」
「えぁ……あ、ありがとうございます…!」
これくらいならどうってことないしな。ジャスミンは袖からシャツを掴み、壁から覗き込む様に隠れる。思ったより密着していて、俺は歓喜する。
〜
「ここは武器屋か」
俺の武器はショートソードだ。この剣も使い勝手は悪くないが、ここで新しく新調して何を使うか決めてもいいな。
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