5:名無しNIPPER
2019/07/30(火) 23:22:00.58 ID:5Y9orGSy0
ちひろ「なんと、もしかしたらそれの犯人は私たちの同業者かもしれません。手柄を独り占めするために悲しいことがあった出来事の記憶までもを消していってしまう輩もいると聞いたことがあります。近年、人間の平等化、働き方改革などが進み、不満を持つ人間自体が減ってきており、私たちもリストラの危機に怯えながら仕事をしているのです。おいくらほどお金が積まれていたか教えていただいても構いませんか?」
モバP「100枚の1万円札の束が30はあった、にしても腹立たしいことをしやがるやつだ。神様の遣いというのであれば天使のようなやつでなければいけんだろうに」
ちひろ「全く同意です、それについて上に報告しておきましょう。もしかしたら失った記憶に対する保証金が出るかもしれない。それにしても20年分で3千万とは大変な記憶ですな、それほどの金額で買い取ったケースは聞いたことがない。記憶の持つデータの有用性で買い取り金額は決まるのです。相当な苦労をされたに違いない」
モバP「それほどまでにひどい人生だったというのならは記憶をなくしてもしかしたら良かったのかもな、そんな3日しか生きていない男の記憶で良ければどうぞ買い取ってくれ」
ちひろ「ありがとうございます!む、いやしかし本当に3日分だけですな。査定はすぐに終わるので少々お待ちを」
女がアタッシュケースを地面に置くとそれがひとりでに開いた。これも魔法の道具か何かなのだろうか。その中には封筒が入っていて、薄い封筒を男に渡した。
ちひろ「なにせ記憶の量が少ないですし、高値がつくはずのその悲しい出来事の記憶がございませんからこの程度にはなってしまいます」
モバP「そうですかい、まあ仕方がない」
ちひろ「この度はありがとうございました」
女は頭を下げて帰って行き、部屋の主は自分がドアの前に立ったのかを思い出せないまま再び安楽椅子に戻った。
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