未来「翼と入れ替わってたときの話」【ミリマス 】
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21: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:26:50.54 ID:UbedML5p0
今の自分ならなんでも手に入る。たいして努力もしないで。これが翼が見ている世界なんだ。私はブルっと震えた。前に静香ちゃんが言ってた武者震いの意味がこのとき初めて分かった。
私のダンスが終わり、見学してた翼に声を掛ける。
「でへへ〜やっぱり翼ってすごいね! ダンスバッチリだったよ」
22: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:27:44.39 ID:UbedML5p0
◆
それからの私の生活はまさにハッピーライフだった。だって失敗しても遅刻をしても許してくれるし、ロクに練習しなくてもある程度は動くことができたから。
だんだん翼の体も私になじんできた気もする。私たちそんなに性格が違うってわけでもないし、むしろいつもよりワガママに振る舞っても許してくれるのでこの体は便利だった。
23: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:29:09.79 ID:UbedML5p0
そんなある日、レッスン後にジュリアさんに呼び出された。
「どうしたんですかぁ。ジュリアーノ。急に呼び出したりして、まさか告白とか?」
私の翼のマネもなかなかうまくなったと思う。だけど私のテンションに反してジュリアさんの態度は少し違ってて怒っているようにもみえた
24: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:30:17.23 ID:UbedML5p0
「あら、どうしたの翼」
ドアから出たすぐにバッタリと会ったのは静香ちゃんだった。
「どうしたの翼、青い顔して」
25: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:30:56.01 ID:UbedML5p0
「あなた未来でしょ。自分でも信じられないけど」
静香ちゃんに連れていかれた先の二人っきりの部屋で、静香ちゃんはこう切り出した。
怪しまれることは何回かあったけど、実際に見破られるとは思ってなくて心臓がドクンと跳ねた。あの占い師さんはバレたときの罰については、多分言ってなかったと思う。でもとにかくマズい、ごまかさなきゃという思いでいっぱいになった。
26: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:32:04.76 ID:UbedML5p0
「そこまで言い張るのなら分かったわ。ここに一枚に紙があるの。何か分かる?」
「え?」
「翼のプロフィールよ。プロデューサーに頼んでもらったの。あなたが翼っていうのなら、今から出すクイズに答えてみなさい。自分のことなら分かるわよね。……血液型は?」
27: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:32:45.67 ID:UbedML5p0
「翼のことなら答えられると思ったんだけどなぁ。それはちょっと分かんないや」
「じゃああなたは未来って認めることになるけどいい?」
「……やっぱり静香ちゃんには敵わないなぁ」
28: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:33:36.16 ID:UbedML5p0
静香ちゃんは困ったようにため息をついてこう言った。
「で、どうやって2人は入れ替わったのよ。戻れる方法はあるの?」
「私たちが願ったら元に戻れるって言ってたよ」
29: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:34:37.33 ID:UbedML5p0
「……未来はファンの人の気持ちを考えたことある?」
「ファンの人の気持ち?」
「だって未来のファンは未来を翼のファンは翼を見に来てるんでしょ。中身が逆のまま活動するなんて失礼とは思わない?」
30: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:35:34.87 ID:UbedML5p0
◆
携帯で連絡をとると翼は家にいるみたい。私の姿なんだから居るのは私の家だ。ずっと翼の家にいたけど、やっぱり自分の家への帰る道が見慣れてる。私の家に向かって走っていると、やっぱり自分に戻らなきゃって思いが強くなってきた。
この季節は夜でもすっごく暑い。走ってるから余計にそう感じた。だけど噴き出してくる汗なんて気にしてられない。
31: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:44:02.41 ID:UbedML5p0
とりとめのないお話をしながら公園につく。この時刻の公園は私にとって新鮮で、まるで知らない場所みたいだった。
私たちはなんとなく目についたブランコに座った。ちょうど2つ並んでたから、それぞれのイスに座った。
足がもてあそぶので、小さく漕いでみる。左右にある掴むための鎖はちょっと冷たい。地面をみると、うっすらとカゲができている。自分の足元にできた頭の上にあるアホ毛のあるカゲと翼の足元にできたサイドテールのあるカゲを見比べたりした。
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