精霊使いのお姫様「魔女殿を助けたくはありませんか?」竜の子「助けたい!」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/24(水) 20:40:57.21 ID:a/Td8N0wO
「いや〜清々しましたねぇ!」

一人減り、再び二人だけの旅が始まり、生贄娘は上機嫌で鼻歌を奏でながら前を歩いている。

「一時はヒロインの座を奪われるのではないかとヒヤヒヤしましたが、口ほどにもありませんでした。やはり、天は私の味方のようですね」

晴れ晴れという心中を物語るかのごとく、晴れ渡った青空に生贄娘の元気な声が響き渡るも、傍らの竜の子は黙したまま、返事を返さない。

「おや? 若様、どうなされました?」
「……わかってる癖に」
「ははあ。なるほど……ずばりうんちですね?」
「……違うよ」
「お恥ずかしがらずとも、私がお世話を……」
「っ……違うって、言ってるでしょ!!」

空気を読むつもりのないらしい生贄娘に竜の子が堪らず怒鳴り散らすと、彼女は足を止めた。
そして背を向けたまま、竜の子に尋ねた。

「何故もっと強く引き留めなかったのです?」
「だって、魔女さんが!」

まるで魔女を見捨てたかのようなその物言いに、竜の子が声を荒げて言い返そうとすると、生贄娘は振り返り、ぴしゃりと叱りつけた。

「お黙りなさい。全ては、若様の責任です」
「僕の、責任……?」
「そうです。若様の意気地がなかった。故に魔女は連れていかれたのです。情けないですね」
「……うるさい」
「意気地なしの竜の子を、さぞご両親は嘆かれるでしょう。かくいう私も、幻滅しています」
「うるさい! うるさい! 黙れっ!!」
「いいえ黙りません。それが生贄の務めです」

癇癪を起こした子供に生贄娘は呆れることや見放すことをせずに、真っ直ぐ向き合い、諭す。


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