精霊使いのお姫様「魔女殿を助けたくはありませんか?」竜の子「助けたい!」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/24(水) 21:07:13.44 ID:a/Td8N0wO
「……『また』でしたね、若様」
「……ごめんなさいでした」

あの後すぐにお漏らしお姫様から魔女の現在地を教えられて、竜の子と生贄娘は城を出た。
桟橋を渡りながら、生贄娘は竜の子を叱る。

「前回の反省が全く活かされていませんねぇ」
「……面目ありません」
「どうして見てしまうのですか?」
「……わかりません」
「この物語がどんなお話か覚えていますか?」
「……お茶の間で皆が嗤って愉しめる物語です」
「然り。それが全年齢対象で健全な物語です」
「……はい。固く、肝に命じます」

説教の最後に生贄娘は拗ねた口調で付け足す。

「節操がなければ、女の子に嫌われますよ」
「……き、嫌わないで」
「ふんだ」
「嫌わないでぇっ!?」

涙目で懇願する竜の子を、冷たくあしらった。
もちろん、姫君の太ももと尿に目を奪われたことに対する抗議もあるが、何よりも、城から出た直後の、覚悟を決めたお顔が気に入らない。

「魔女の為に、あんなに、お熱くなられて……」

そこまでして救おうとする魔女に、嫉妬した。

「……カッコよすぎて、本当に、羨ましいです」
「えっ? 生贄娘、何か言った?」
「若様はお子様であられるとそう言いました」
「お子様じゃないもん!」

少し揶揄うとすぐに不満そうに頬を膨らませる竜の子の年相応の子供らしさを見て、生贄娘はまだまだ子供だと安心感を抱きつつ、しかし、油断は禁物であり大敵だと、気を引き締めた。

子供の成長は早い。すぐ大人になってしまう。
目を離すとあっという間にどこか遠くへ巣立ってしまうのではないかと不安で、寂しかった。

とはいえ、泣きごとなど生贄娘の柄ではない。
頼れる大人であろうと、年頃の娘は精一杯の虚勢を張って、竜の子の手を取り、前へと進む。

「それでは、私としては全く気が進みませんが、ともあれ一度は弟子となったわけですし、嫌々ながらも、魔女を助けにいきましょうか」

そんな素直ではない生贄娘の言い草に対し、全幅の信頼を寄せる竜の子は今度は怒ることなく、しっかりと彼女の手を握り力強く頷いた。

「うん! 行こう!」

巨悪から魔女を救うべく、竜の子の旅は続く。


【竜の子と生贄娘の葛藤】


FIN


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