5: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2019/07/24(水) 12:25:21.58 ID:rmJoFnhWo
最初にみえたのは羊毛みたいに白く柔らかな光の群れだった。
それはあくまで想像上の産物でしかない。だけど、やがて訪れる春のような、薄く滲んだ温度を遠くのほうに感じ取ったような気がした。
きっと外を照らす太陽のせいだろう。真っ白な明かりが瞼の隙間から溶け込んでいた。
肌や耳に伝った感覚の絵具で、無地の世界に色を塗っていく。
広がるキャンパスは見渡す限り一面の白色だ。ならば最初に使う色は黒が何よりも相応しいだろうと、私は一先ず地面を真っ黒に塗り潰した。
すると、すっかり馴染んだ硬さが両足に触れる。
コンクリート? いや違う、これはアスファルトか。
厳密な定義は知らないけれど、まあ、この際何だっていい。重要なのは、空想の地面が明確な形を持っていることだ。
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