21: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2019/07/24(水) 12:35:33.16 ID:rmJoFnhWo
「もう行くんすか?」
私は尋ねる。
「ああ」
と彼女は頷いて、手元の腕時計をみた。
「時間はまだあるけれど、ずっと座っていたら身体が冷えて仕方がない」
たしかに話し始めた頃に比べれば、外気は幾分か冷え込んだような気がする。
というよりは、身体を動かしていなかった分、私の全身から熱が奪われていったという説明のほうが適切だろう。
現に、ここに来たときからずっとボール遊びをしている子どもたちは、いまも元気そうに走り回っている。
「そっすね」
私は頷いて、若干の勢いをつけて立ち上がった。
すっかり冷えた指先を擦り合わせて、ふうっと息を吹きかけてみる。
重なった皮膚を一瞬だけ覆った熱は、しかしすぐにどこかへと消えていく。
そんな当たり前に私はため息を一つ吐いて、仕方なく両手をポケットに突っ込んだ。
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