芹沢あさひ「青空の水槽」
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11: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2019/07/24(水) 12:29:54.24 ID:rmJoFnhWo

 私が話している間、プロデューサーさんは相槌も打たないで、ただひたすらに沈黙していた。
 きゅっと結んだ唇に添えられた人差し指が、時々微かに動いていた。
 彼女の様子は、ともすれば話を聞き流しているだけのようにもみえるだろう。
 だけど、彼女がなにか思考を巡らせるとき、その小さな右手が顎の辺りへ触れることを私は知っていた。

 私が一通り話し終えたところで、彼女は平坦な口調で言った。

「どうして水みたいにみえたの?」

 その質問に、私はこう答えた。

「だって、水の色は空の色じゃないっすか」

 そして、いまに至る、というわけだ。




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