女「夢桜、どうか散らないでいて」
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94: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2019/08/04(日) 22:36:26.82 ID:Hkr4TjkY0

男父「…お前も知っての通り、母さんは元々何でもない村の娘だったんだ。私はこれでも一応貴族の端くれではあったからね、普通なら接点なんてないんだが……」

男父「その頃の貴族の間では度胸試しなるものが流行っていてね。今では立ち入りが禁止されている町はずれの森があるだろう?あの中心には、戦争で出来た大きな穴があってな。そこから突き出ている不発弾を触って来る……というものだった」

男「!?…そんなの危険過ぎるじゃないか!何考えてたんだよ!」

男父「はは、本当にな。けどな、あの頃は必死だったんだ。そうでもしないと、周りの立派な家の子達からは認めてもらえなかったからね」

男「ともかく、私はその場所に行って、不気味に飛び出た不発弾のごく端っこの方をちょっとだけ触ろうと手を伸ばしたんだが……あろうことか足を滑らせてしまってな。あわや穴に落ちてしまいそうになったんだ」

男父「そんなに深くはないがそれでも落ちればそれなりの怪我は免れない。自力で這い上がるのは難しくて、徐々に腕に力が入らなくなってきてから、無駄と分かってはいながら大声で助けを呼んだ」

男父「あんなに必死に叫んだのは人生であの時くらいなものだ。そしたら、驚いたことに一人の女性が来てくれたんだよ」

男「それが……」

男父「そう、母さんだ」





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