10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/22(月) 23:49:41.76 ID:lIL3ZnEMO
「……これからは、師匠と、呼ばせて貰う」
「良い師に巡り会えた幸福を噛み締めなさい」
「……はい。光栄の至り。感謝感激雨あられ」
用を足した後、すぐに眠りについてしまった竜の子を抱きかかえた生贄娘は、さも偉そうに踏ん反りかえって、魔女を自らの直弟子とした。
「では、我が弟子よ。あなたに命じます」
「……なんなりと、ご命令を」
「若様のお友達になってあげてください」
予想だにしない命令に、魔女は目を見開いた。
「若様はずっと孤独でした」
生贄娘は語る。
人間とドラゴンの間に生まれた子供の境遇を。
生贄娘がドラゴンの巣に連れて来られた際、竜の子は初めて、両親以外の他人と知り合った。
初めはどう接すればいいのかわからず、近寄って来なかったが、じっとこちらの様子を伺っていたので、手招きをするとすぐに寄ってきた。
もう孤独な寂しさを我慢しなくていいのかと、こちら伺う臆病な竜の子の視線は、今でも生贄娘の目に焼き付き、思い出す度に切なくなる。
「若様は、とても寂しがり屋です」
「……そう、なんだ」
魔女は、竜の子は自分と同じだと思った。
穴蔵に引きこもることに飽きて、外へ出た。
けれど、世界に魔女の居場所はなく、国によっては火あぶりに処される地域すらあった。
ずっと、独りぽっちだった。
それが当たり前でそれが普通だと思っていた。
だけど、それでも、いや、だからこそ。
「だからこそ、お友達が必要なのです」
「……わかった」
意を決して師の言葉に従い、しっかりと頷いて了承してから、ふと疑問を抱いた。
「……師匠は若の、お友達では、ないの?」
そう魔女が尋ねると、生贄娘はドヤ顔をして。
「私はご両親公認の、パートナーですので」
そう言われると、なんだかムカムカしたので。
「……ショタコン、キモい」
「あっ! 今、絶対に言っていけないことを!」
「……キモいショタコンから、若を取り戻す」
「弟子の分際で何を! 破門にしますよ!?」
「……ショタコンの弟子なんて、願い下げ」
第三次女同士の醜い諍いが勃発したことなど夢にも思わず、竜の子はスヤスヤと眠る。
【竜の子と、大人勃ちになった魔女】
FIN
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