魔女「……大人、勃ち?」竜の子「ほえ?」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/22(月) 23:27:17.65 ID:lIL3ZnEMO
「おえっ! おろろろろろろろろろろろろっ!」
「ああ、若様……おいたわしや」

本日は快晴であり、波は穏やか。順調な航海。
しかし、慣れない船旅に竜の子は弱っていた。
船酔いに船酔いを重ね、頭はグルグル、身体はフワフワ、足元はおぼつかずフラフラ、そして込み上げる嘔吐感に堪えきれずに、ゲロゲロ。

「ううっ……お空の魔物が羨ましい」

ゲッソリとした面持ちの竜の子は、虚ろな眼差しで船の周りを気持ち良さそうに舞う魔物達を羨ましがり、その華奢な背中をさすり看病をする生贄娘はじっと海面に目を落とし、呟いた。

「私は海中の魔物が羨ましいです」
「え? どうして?」
「若様の吐瀉物があまりに美味しそうなので」
「な、何を言ってるの……?」

ただでさえ船酔いで頭が回らないこの状況で、生贄娘の妄言の意味が理解出来ない竜の子に。

「若様、どうかお願いがあります」
「ど、どうしたの、生贄娘?」
「僅かでもいいので、私にもおこぼれを」
「お、おこぼれって、なんのこと……?」
「私も若様の吐瀉物を味わってみたいのです」
「おかしい! そんなの絶対おかしいから!」

本日も旅の連れ合いの頭はいつも通りおかしく。
海の向こう側を目指す竜の子と、その父である竜王に捧げられた旅のパートナー兼ナビゲーター兼アドバイザーである生贄娘の船旅は、決して順風満帆とは言えずとも、平和であった。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/22(月) 23:32:23.71 ID:lIL3ZnEMO
「……だい、じょうぶ?」

生贄娘に気持ち悪いことを言われて再び込み上げてきた嘔吐感に苛まれた可哀想な竜の子のことを不憫に思ったのか、甲板でその様子を見つめていた黒ずくめの少女が小さく声をかけた。
胸元に束ねて垂らした漆黒の黒髪と線の細さが印象的な人間だった。

以下略 AAS



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