善子「それでも私は■■を愛して生きていたいのです」
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6:名無しNIPPER[saga]
2019/07/21(日) 04:19:45.55 ID:gGVI8GvBO
「そうだねえ……善子に子供が生まれてその子を抱っこ出来たら、いつ死んでも構わないわねえ」

笑いながら言う祖母に私は「なんでそんなこと言うの?」とただただ、悲しい気持ちになった。

「死んでも構わない」なんて、信じられないことだった。思えば、この地獄の様な思考と付き合い始めたのは、この時からだったかもしれません。

大人になればいつかこの怖い気持ちは消えて、本当の意味で大人になれるのだと幼き日の私は常々思いこんでいた。

しかし、五年経っても、十年経っても、恐怖は消えるどころか、増す一方だった。

私は「死」が怖い。

死んだら、何もかもが全部なくなる。

私が死んだら“わたし”はどうなる?私が生きてきた事は?

それこそ、全てがゼロになってしまうのではないか?私はそれが最も怖い。

考え始めると決して眠れない、頭の中にへばり付く泥の様な呪縛!潜在的な命の恐怖!
その毒はやがて全身に回り、全ての物事が手に憑かなくなる。

誰にも、この事は相談できない。相談したならまた、思い出してしまうから。

決して逃れられない地獄の輪廻。見知らぬ恐怖の源泉である「果て」が、奈落の底であるがゆえに誰にもそれが分かっていない。理解しようとしていない。

それこそが、私には分からない事だった。


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