魔王「魔物使い、貴様はどのような世界を望む?」魔物使い「ほえ?」
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16:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/18(木) 23:39:02.92 ID:Yz/20wypO
「ふむ……貴様が魔王か」
「だったら、どうした」

城内の配下の魔物を全て平らげて、魔王は森の中をしらみつぶしに徘徊していた。
生息する魔物を見つけては食い、見つけては食い、そして一頭のドラゴンと出会った。

「何故、魔物の王が魔物を食らう?」
「我の大切なものを、奪ったからだ」

何もかもが気に入らなかった。誰も彼も。
人間も魔物も、目の前のドラゴンでさえ。
その憐れむような視線が、煩わしかった。

「泣くほどに、辛いか」
「だったら、どうした」
「生きることに、疲れたか」
「見れば、わかるだろう」
「ならば、貴様を食ってやろう」

魔王の眼前でドラゴンの巨大な顎門が開く。
逃げようと思えば出来る。
逆にその長い首に食らいつくことさえも。
しかし、魔王はその場から動かない。

「ああ……これで、やっと、終われる」

瞳を閉じて、その牙を、甘んじて受け入れた。

「貴様の憎しみも、辛さも、切なさも、愛おしさも、悲しみも、哀しみも……全て引き受けた」

全てを飲み込み、ドラゴンはその先も生きる。

「いつか、貴様の願いが叶うことを祈ろう」

ドラゴンは祈り、そして叶えた。
誰かが叶えるのを待つのはやめた。
自らが人間と共に生き、子を育て始めた。


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