4: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 06:48:37.67 ID:zErl41JR0
「きゃっ!」
私が見たのとは反対方向から声がした。声の方向へ振り返るとそこには一人、浦の星の生徒が体勢を崩して転んでいた。
善子「いたたたた……」
5: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 06:56:59.88 ID:zErl41JR0
果南「善子、何か隠してるでしょ?」
善子「そ、そんな訳ないじゃない! だいたい私が何を隠してるっていうのよ」
果南「うーん?」
善子は分かりやすく動揺している。絶対何か隠し事があるに違いない。
6: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 06:57:51.95 ID:zErl41JR0
ニャーォ
7: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 07:05:39.20 ID:zErl41JR0
果南「ん?」
善子「あ、コラ駄目!」
善子の後ろから揺れる黒い尻尾が見えた。善子が自分の後ろを気にしている間に、私は背中側へと回り込んだ。
8: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 07:12:40.79 ID:zErl41JR0
私は怖がられないようにゆっくりと手を近づけて、黒猫の頭を触ろうとした。すると、私の手が頭へ到達する前に黒猫の方から頭を近づけてきた。
果南「おー、よしよし。本当に人懐っこいね」
善子「だから言ったでしょ?」
果南「そうだね。おっ、おまえ〜まだ撫でて欲しいのか〜?」
9: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 07:20:39.75 ID:zErl41JR0
善子「この子、親猫とはぐれちゃったみたいでね。私が朝登校しているときに雨の中木の下で鳴いてたのよ」
果南「坂のところ?」
善子「そうそう。それで放っておく訳にも教室に連れていく訳にもいかないじゃない? だから中庭にあった段ボールに避難させて部室の扉のところに置いておいたの」
果南「そういうことね」
10: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 07:26:55.84 ID:zErl41JR0
果南「別に悪い事してる訳じゃないんだから隠れなくても良かったのに」
善子「だって、隠れて飼ってるなんて勘違いされたら何言われるか分からないじゃない。今朝会ったばっかりなのにね?」
果南「みんな何も言わないと思うけどなぁ……」
善子「私もそうだと思うんだけど、反射的にね」
果南「あー……なんとなく分かる気がする」
11: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 07:35:16.03 ID:zErl41JR0
善子「今日この後、この子の事どうしようかと思って」
果南「ああ、子猫だろうし、ここに置いていく訳にはいかないし、ね?」
善子「でも私の家ペット禁止だし、連れて帰れなくて……」
果南「そっか……」
12: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 07:46:26.67 ID:zErl41JR0
善子「果南……ありがとう!」
果南「うぉっと」
善子は黒猫ごと私に抱きついてきた。黒猫は目を丸くして私と善子の顔を交互に見ている。
13: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 07:53:00.74 ID:zErl41JR0
なんとか学校を抜け出した私たちは私の船が置いてある場所へと移動した。
善子「誰にも会わなくて良かったわね……」
果南「運が良かったね。誰かに合うんじゃないかとヒヤヒヤしてたよ」
14: ◆vlTFewOdSQ[sage]
2019/07/17(水) 08:06:07.88 ID:zErl41JR0
コンビニに一番近い船が泊まれる所となると、必然的に千歌の家の前になる。
善子「千歌に見つからないかしら……?」
果南「うーん……念の為、急いだ方が良いかも?」
善子「じゃあ私、ダッシュで行ってくるから。この子よろしくね」
26Res/14.59 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20