アクマと僕と,ときどき友達
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2:名無しNIPPER[saga]
2019/07/17(水) 04:45:02.79 ID:bX4lPTXu0

「私のせいなんだ,あんなことを言ったら,こんなことになったんだ」

「でも,おかしいよ.シゲルは勇者だから,魔王の手先のアクマなんかに負けないよ.

だって,シゲルは強いもん」.

「バカ,あんなのげーむだよ.本当はもっと怖いんだ,大きな口に牙もたくさんあって,それでみんな食べられちゃうんだ」

ヨーコはとうとう泣き始めた.僕はそれになんだか罪悪感を覚えて,提案する.

「じゃあ,それがほんとうかどうか,確かめるよ.たしか裏山にある,昔巫女様が済んでいた寺だよね?これから行ってみるよ.きっとシゲルだっている」

「やめて!」

ヨーコが,僕の制服の裾を握りしめて,声を振り絞るようにして言った.

「なんでバカなことするの?ぜったいやめて.今,村のひとたちが,探しに行ってくれてる.『僕』はここにいて」

僕は,裏山の方角を眺める.

夕焼けに照らされた山は三又のようないびつな形をしておりその谷に,寺が存在するはずだった.

巫女様が亡くなって以来,村民で,一部を除き山には誰も立ち入ろうとしない.

小鳥のさえずりや葉の音で騒がしかった山は,今や恐ろしいほどに静まり返っている.



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