ドラゴン「貴様は肉を食わないのだな」魔物使い「ベジタリアンなものでして」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/16(火) 21:37:47.02 ID:otgDpFYUO
「……度し難い。よもや他所様の寝床に来るなり小便を漏らすなど、夢にも思わなかったぞ」
「ご、ごごご、ごめんなさぁい!?」

失禁した人間を、ドラゴンは咎めた。当然だ。
誰だって、たとえドラゴンだって怒るだろう。
しかし、激怒することはなく、呆れた溜息と共に焔を口から吐いて、地面の枯草を燃やした。

「うあっち! や、焼かないでください!」
「貴様など焼いたとしても小便臭くて食えん」
「あ、はい! おしっこ臭いので食べても美味しくありませんから、食べないでくださいっ!」
「だから、食わんと言っておるだろう。いいからさっさと、その火で小便を乾かせ」

ああ、なるほどと、人間は納得して。
いそいそと衣服を脱ぐ際、ちらちらドラゴンへ視線を送り、もじもじしながら妄言を吐いた。

「あの、そんなにマジマジと見られると……」
「貴様の貧相な身体になど、興味はない」
「あ、はい。ですよねー。でも、見ないでくれるとありがたいなーなんて言ってみたりして」
「興味などないと言っている」
「それはもう重々承知してますけど、むしろこっちが見られてドキドキしちゃいまして……」
「貴様……頭がおかしいのか?」
「あはは……昔、よく言われました」

乾いた笑い声が、虚しく洞窟内に響いた。
見下すドラゴンの大きな眼と、上目遣いの人間の小さな瞳が交錯し、しばらく見つめ合った。
そんな均衡を解いたのは、意外にもドラゴンの方で、やれやれと首を振り瞼を閉じてやった。

「これでよいか?」
「ありがとうございます、ドラゴンさん」

人間からの感謝の言葉。
それはドラゴンの長い生涯においてもほとんど経験がなく、ほんの少しだけ喜ばしかった。


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