【モバマス】 木村夏樹「道とん堀には人生がある」
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7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/15(月) 02:18:16.69 ID:VQj+6fZHO


 ヘヴンズドア――そんな名前のロックバンドがある。


 メンバーは全員今を生きる若い女アイドルで、昨今流行している「バックバンド付きアイドル」ではなく、正真正銘自分たちで演奏し、歌うガールズバンドだ。


 総勢六名という、一つのバンドにしては比較的大所帯な人数構成。
 それに加えギター三名・ベースギター一名・ドラムス一名・ボーカル一名というトリプルギター体制で、曲によってはそれぞれ全員がボーカルパートを担当するような異質な特徴を持つ。
 演奏技術にも秀でていて、男性のそれにも引けを取らない。今までのガールズバンドのイメージを覆すような力強さ、美しさを併せ持つ。そんな集団だ。


「……それじゃ、始めるか」


 某日、とある芸能事務所。
 そのビルの会議室にヘヴンズドアのメンバーがいた。
 メンバー……それだけじゃなく、メンバーとなるアイドルをプロデュースする各プロデューサー数名と、それからこの芸能事務所をとりまとめる社長も出席していた。


「単刀直入に言いまぁす。新曲やりたい?」


 会議、そんな厳粛な場面にはとても似つかわしくない陽気な語調。しかしそれを言い放ったのは社長その人である。
 ヘヴンズドアを結成させたのも彼の主導によるもので、社長を軸とした事務所総出のプロジェクト、プロデューサーの垣根を超えた合同企画がこのバンドなのであった。


 乱立する芸能・アイドル事務所。アイドル戦国時代と呼ばれる昨今の業界では、熾烈な生存競争が行われている。
 この事務所はそんな世界を生き残っている一つであるが、それでも最大手の一大事務所から見れば獅子と猫くらいの実力差がある。


 その為、さらなる生き残りをかけて編み出されたのがこのバンドであった。


 アイドルのような存在がバンドを組む――それ自体は今や珍しくもない。しかし現役アイドル六人構成という大所帯、全員が一定の技巧を持ち、そして音楽 ジャンルがゴリゴリのロック・パンク・メタル・エモ・エレクトロニカなどの要素を持つバンドはアイドル史上類を見ないような、そんな稀有な存在だ。


 所属アイドルにロックを漂わせる者が多い――そんな軽いノリで立ち上がった計画は現実味を帯び、楽器経験者・バンド経験者もいることから結成が実現した。


 秘密裏に結成され、特訓を積み、そうして表舞台に殴り込みをかけた彼女たちヘヴンズドアは、今や日本を代表するガールズロックバンドになりつつある。






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